合成エメラルドの鑑別
エメラルドは五大宝石(ダイヤモンド、ルビー、サファイア、エメラルドとアレキサンドライトもしくはひすいや真珠)の中でもっとも古くから伝わる宝石で、それ故に貴族や富豪が好んでいた宝石です。
ルビー同様に色石の中では高価な宝石ですので、古くから合成石が存在します。
もっとも古いとされているのは1930年頃で、その後もいろいろな製法で合成エメラルドが誕生しています。
日本でも、合成エメラルドを最初に商品化したのは京セラで、1976年にクレサンベールのエメラルドと称して売り出されました
エメラルドの合成石を見極めるためには、2つの器具を使います。
合成エメラルドの鑑別手順① -長波紫外線ライト-
エメラルドと思われる石に長波紫外線ライトを照射して、蛍光反応の色で判断します。
・強い赤になる
→ ほぼ合成エメラルド
・暗い赤になる
→ 天然または合成の可能性がある
(さらに判別するために次の器具を使います。)
・黄緑色・変化なしになる
→ 天然または合成の可能性がある
(さらに判別するために次の器具を使います。)
合成エメラルドの鑑別手順② -カラーフィルター-
人間が見ることのできるエメラルドの光の色の領域である可視光線のスペクトルのうち、カラーフィルターは赤色の部分と黄緑色の部分以外を吸収できるように作られています。
エメラルドが鮮やかな緑色を示すのは、主成分のベリリウムの他に微量なクロム成分が含まれているためです。
このクロム成分が含まれていることにより、カラーフィルターでは基本赤色に見えます。(一部のエメラルドを除く)
同じ緑色の石でもクロム成分を含まない石、もしくは赤色になる起因を持たない石などは、カラーフィルターで赤色に見えません。
したがって、カラーフィルターを使用することは、これらの石とエメラルドとの識別に大変有効です。
また、カラーフィルターは赤い光と黄緑の光しか通さない特殊なフィルターですので緑色は見えません。
カラーフィルターの使い方
・眼はカラーフィルターにできる限り近づけてください。
・宝石は机などに置いて、ペンライトで照らしてください。
カラーフィルター越しに見て何色に見えるかで判断します
・強い赤
→ 合成エメラルドの可能性が極めて高い
・微赤色(オレンジに近い色)や暗赤色
→ 天然エメラルドの可能性が高い
・色の変化なし
→ 類似石(グリーントルマリンやペリドット、緑色ガラス)の可能性が高い
合成エメラルドの鑑別手順③ -デジタル顕微鏡・ルーペなど-
最後は、拡大してエメラルド特有の内部特性を確認して判断します。
以上のような手順で天然エメラルドか合成エメラルドの見極めを行います。
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